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25/08/29

2025年日本生命・三菱UFJ銀行情報漏洩事案の教訓:
出向・提携先から情報を守るための内部不正対策

パソコン操作をする人の手元

2025年8月にニュースになった、日本生命の出向社員による情報持ち出し問題は、改めて内部不正というリスクの深刻さを認識させる事案でした。

この一件は、単なる企業の不祥事というだけでなく、企業間連携が当たり前になった現代のビジネスにおいて、情報セキュリティのあり方を考え直すきっかけを与えたと考えられます。本コラムでは、この事案から見えてきた課題と、企業がどのように対策すべきかについて考察します。

目次

  1. 日本生命・三菱UFJ銀行事案の全貌と現代的リスクの可視化
  2. 内部不正の多層的な要因と法的・管理的責任
  3. 効果的な内部不正対策の原則と実践
  4. コプリガードによる包括的な内部不正対策
  5. まとめ:信用と競争力は内部から守る

日本生命・三菱UFJ銀行事案の全貌と、現代的リスクの可視化

事案の概要と時系列:公式発表と報道内容の深掘り

2025年7月、日本生命保険相互会社(以下、日本生命)において、株式会社三菱UFJ銀行(以下、三菱UFJ銀行)への出向社員が同行の内部資料を無断で持ち出し、社内で共有していた事案が明らかになりました。この事案は、単なる情報漏洩事故としてではなく、現代の企業間連携における情報ガバナンスの脆弱性を浮き彫りにする出来事として、金融業界内外で大きな波紋を広げたと考えられます。

事案の経緯は、2025年7月に日本生命が外部からの指摘を受けて社内で事態を把握し、社内調査を開始したことに端を発します。7月15日には一部報道機関がこの事実を報じ、同日中に日本生命は金融庁へ事案を報告しました。そして、7月16日に日本生命は本件に関する報道があったことを認め、公式に公表するに至りました。持ち出された資料には、銀行における業績評価基準や、他社保険商品に関する内部情報が含まれており、出向社員が2024年春頃に写真撮影という手法で入手していたことが判明しています。その後、資料は日本生命社内の営業部門や金融法人担当部門で約270人もの関係者に共有されていたといいます。

その後金融庁は、7月18日に報告徴求命令を日本生命に発出しました。これを受け、日本生命は約60人体制で事実関係の確認を進め、発覚から約1ヶ月後の8月18日に調査結果を金融庁に報告するに至りました。この一連の動きは、金融機関における内部不正が、単なる企業内部の問題にとどまらず、監督官庁からの厳しい監視対象であることを示唆していると考えられます。

(参考)日本生命保険相互会社 | 当社に関する一部報道について

不正持ち出しの手法と動機の分析:現代的課題の考察

今回、不正持ち出しに用いられた手法は、データ損失防止(DLP)ソリューションが主に監視・制御するデジタルデータの移動とは異なる、物理的なアプローチも含まれていた点に注目すべきです。物理的な資料やPC画面を写真撮影し、その画像をデジタルデータとして持ち出す手口は、従来の技術的対策では防ぎきることができないと考えられます。この事実は、情報漏洩対策を考える上で、デジタルファイルだけでなく、物理的な情報や画面表示そのものを保護する必要があることを強く示唆しています。

出向・提携業務における情報ガバナンスの脆弱性

今回の事案は、出向や提携といった、企業間の信頼関係を基盤とするビジネスモデルに潜む、構造的な脆弱性を露呈させたと言えます。出向者は、出向先の企業に属しながらも、元の雇用主である自社への帰属意識と目標達成へのプレッシャーを抱える二重の立場に置かれます。このような状況下では、出向先から得た情報を自社のために利用しようとするインセンティブが働きやすく、情報ガバナンス上の盲点となりがちです。

今回の事案を受け、被害者である三菱UFJ銀行は、すべての保険会社からの出向受け入れを廃止する計画を公表しました。この決定は、単一の不正事案が、長年にわたる企業間連携の基盤を揺るがし、業界全体のビジネスモデルにまで影響を及ぼす可能性を示唆していると考えられます。これは、関係者による情報漏洩事案が、単なる経済的損失や評判の低下にとどまらず、企業間の信頼関係という最も重要な無形資産を破壊する深刻な事態につながることを証明していると見られます。出向や提携は、今後もビジネスにおいて不可欠な形態であり続けるため、このリスクを前提とした厳格な情報管理体制の再構築が急務であると考えられます。

内部不正の多層的な要因と法的・管理的責任

「悪意」だけではない不正のトリガー:
「機会」「動機」「正当化」のトライアングル

内部不正は、必ずしも悪意ある個人によって引き起こされるわけではないとされています。内部不正は「うっかり違反した」「ルールを知らずに違反した」といった、故意ではない理由でも起きている一方で、「業務完了のために持ち出す必要があった」「処遇や待遇に不満があった」といった明確な動機に基づいて起こるケースもあります。

今回の日本生命の事案の動機も、「悪意」とは異なる側面を持っていたと見られます。今回のケースでは、金銭的な利益や組織への不満といった個人的な動機ではなく、自社保険商品の販売推進という、一見すると会社の利益につながる目的のために情報が持ち出されました。
不正行為が「動機」「機会」「正当化」の3つの要素が揃ったときに発生するという「不正のトライアングル」の概念に照らし合わせると 、今回の事案は、自社の営業目標を達成するというビジネス上のプレッシャーが「動機」となり、持ち出しを可能にする技術的・管理的な隙が「機会」を与え、不正行為が自社の利益につながるという自己の判断で「正当化」された構図が浮かび上がると考えられます。

このことから、内部不正対策において最も確実なアプローチは、予測不能な個人の心理に依存するのではなく、技術的・物理的・管理的な複数の仕組みによって不正を働く「機会」そのものを排除することと結論付けられます。

不正競争防止法における「営業秘密」の定義と法的措置

内部不正による情報漏洩は、法的な側面からも企業に重大な責任をもたらす可能性があります。不正に持ち出された情報が不正競争防止法上の「営業秘密」に該当する場合、不正を働いた従業員は、民事および刑事上の責任を問われる可能性があります。

営業秘密侵害罪には、個人の場合、10年以下の懲役または2,000万円以下の罰金(海外で利用された場合は3,000万円以下)が科される可能性があるとされています 。日本生命の社長も、事案発覚後に外部弁護士と連携し、不正競争防止法上の営業秘密に該当するかを確認する方針を示しました 。この対応は、不正競争防止法による保護のハードルの高さを物語っていると見られます。営業秘密として認められるには、情報が「秘密として管理されていること」などの要件を満たす必要があり 、事後にその証明を行うことは非常に困難で、多大なコストと時間を要します。
このことから、不正な持ち出しを未然に防ぐことがいかに重要か、ご理解いただけると考えます。

効果的な内部不正対策の原則と実践

「やりにくくする」ための技術的・管理的アプローチ

この事案が示すように、内部不正は多様な手口で行われます。USBメモリーや印刷、メール添付、Webアップロードといった経路に加え 、写真撮影ような、従来の技術的対策では防ぎきれない手法が用いられる可能性も明らかになりました。

このような事案を受け、情報漏洩対策の専門家は、技術的対策と物理・管理的対策を組み合わせた多層防御の必要性を指摘しています。例えば、「私物スマホ持ち込み制限」や「画面キャプチャーの検知」などは、効果的な対策として挙げられることがあります。

これに対し、弊社が提供する情報漏洩対策ソフト「コプリガード」は、不正行為そのものを未然に防ぐという「予防」のアプローチで、より強固なセキュリティモデルを構築します。特に、PC上でのファイルコピーや画面キャプチャーなど、さまざまなデジタルデータ流出の経路を遮断する機能は、情報セキュリティ戦略の重要な柱となると言えるでしょう。

「見つかるリスクを高める」ための監視とログ管理

不正行為の抑止力を高めるためには、監視体制の強化が有効であるという分析も存在します。情報漏洩対策の専門家は、単純な操作ログの記録を超え、不審な行動パターンを分析して異常を早期に発見する、より高度なアプローチを提唱しています。例えば、「ラベル付き社外秘データの外部送信」「スクリーンキャプチャ検知イベントの高頻度発生」「勤務時間帯外の大量閲覧」などを相関させて高リスク事象として検知する設計などが挙げられています。

しかし、ログ管理には課題も存在します。膨大な量のログを人力でチェックすることは現実的ではなく、見落としのリスクを伴う可能性があります。また、不正行為の兆候を捉えたとしても、すでに情報が持ち出された後である可能性も考えられます。このため、ログ分析による「検知」は事後的な対応であり、理想的には不正行為そのものを「予防」する技術的対策と組み合わせることで、強固なセキュリティ体制を構築することができます。

コプリガードによる包括的な内部不正対策

日本生命の事案における課題と、コプリガードの機能的対応

2025年の日本生命事案が浮き彫りにした課題は、多くの企業が直面する内部不正リスクの典型例であると言えます。その課題に対し、弊社が提供する情報漏洩対策ソフト「コプリガード」は、デジタルデータに対する具体的な解決策を提供します。
不正持ち出しの目的が「デジタルデータの共有」にあったことを踏まえると、PC上での画面キャプチャーやファイルコピーといったデジタル経路を遮断することの重要性が再認識されます。コプリガードは、「画面キャプチャー禁止」機能により、プリントスクリーンキーや外部のキャプチャーソフトによる画面の複製を技術的に無効化し、不正な情報流出経路を遮断します。また、USBメモリーやスマートフォンなどの外部デバイスへのコピー、メール添付、Webアップロード、印刷といった、さまざまなデータ持ち出し経路を制御する機能をもっています。これにより、多様な手口に対応した多層的な防御網を構築し、内部不正の「機会」を排除することが可能です。

柔軟なポリシー設定と「重要領域」管理による実務との両立

セキュリティ対策は、業務効率を低下させるという懸念から導入をためらわれることがあります 。しかし、コプリガードには、この相反する課題を両立させるための柔軟な機能があります。

コプリガードは、PC単位、ログインユーザー単位で異なる禁止ポリシーを設定できるため、部門や役職、さらには出向者とプロパー社員といった特定のユーザーグループごとに、業務内容に応じたきめ細かなアクセス権限の運用が可能です。これにより、機密情報を扱う部署では厳格なポリシーを適用し、それ以外の部門では柔軟性を保つといった運用を実現します。

また、特定のフォルダーを「重要領域」に指定することで、その領域内のファイルの閲覧や編集は許可しつつ、外部への保存やメール添付を防止することができます。この機能は、ファイルごとに個別に設定を行う手間を省き、業務フローを大きく変更することなく、効率的な情報保護を可能にします。禁止操作を行った際には、ポップアップ画面でその旨が通知されるため、利用者は自身の操作がセキュリティポリシーに違反していることを即座に理解でき、無用な混乱を防ぐことができます。

まとめ:信用と競争力は内部から守る

2025年の日本生命事案は、企業が直面する内部不正リスクの本質を改めて問い直す機会を提供したと考えられます。内部不正は、単なる「悪意」からだけでなく、技術的・管理的な隙が「機会」となり、引き起こされることもあります。また、出向や提携といった、信頼を基盤とする業務プロセスにこそ、厳格な情報ガバナンスが必要であることが浮き彫りになりました。

情報が企業の最も重要な資産であり、企業間連携が不可欠な現代において、内部不正対策は企業の信用と競争力を守るための基盤そのものであると考えられます。
コプリガードのような包括的で柔軟な内部不正対策に積極的に投資することは、予期せぬリスクから企業を守り、持続的な成長を確保するための必要不可欠な一歩です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

※本記事の掲載事例は現時点での当社調べの内容です。

本記事の作成者:村澤
所属:株式会社ティエスエスリンク / 営業部

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